インパクトインベストメント研究日誌

インパクトインベストメントについて調べたこと、考えたことを書いています。

「ホームレスをゼロに!」はホームレスも望んでないこと

ホームレスについていろいろ調べてます。

自分がホームレスについて思ってたのは、「ホームレスの人って、なんで生活保護受けないの?生活保護受ければ即ホームレスから脱出できるじゃん」ってことでした。

でも色々調べてみたら、いろんな事情があるみたい。

ホームレスの人が生活保護受けない理由:

①制度を理解していない、申請する能力が無い

「住所が無いと生活保護とか受けられないんでしょ?」といった勘違いをしていたりします(実際は住所が無くても生活保護受けられます)。

申請方法を知らなかったり、申請する能力が無い、という場合も。

なので、きちんと生活保護について理解したり、誰かのサポートを受けて生活保護をきちんと申請できれば、生活保護を受けてホームレスを脱却するかもしれない人達です。

生活保護制度を理解しているが、生活保護を受けたくない

「書類を書いて提出するのとかがめんどくさい」

生活保護を受けるときに一時的に集団生活する必要があるが、それが嫌だ」

「国の監視を受けながら過ごすのが嫌だ」

「ホームレスの方が気楽で良い」

こんな方たちですね。

「ホームレスをゼロに!」はホームレス自身も望んでいないかも

生活保護受けたくない、という人たちもいるわけですね。なので、「生活保護受けてホームレス脱出すればいいじゃん!」っていうのはこちらの勝手な思い込み・おせっかいであって、そんなの望んでないホームレスの方々もいるわけです。

ホームレス支援をしたい、と思ったときは、一律に同じ対応をするんじゃなくて、「ホームレスを脱却したい!でもできない...(やり方がわからない...)」といった方を支援したいです。

参考記事:

jp.quora.com

 

 

子どもの可能性を開くには、たっぷり手間をかける必要がある。

「子どもの貧困」系の本を読んで感じたこと。それは、「子どもの可能性を開くには、たっぷり手間と時間をかける必要がある」ということ。

元々は、「『貧困』の解決なら、金を渡せば解決するのでは?」と思っていた自分もいた。ただ、いろんな事例を見るにつけ、そんなに簡単に貧困が解決するわけでは無いことに気付いた。

子どもの貧困は、親の貧困

貧困状態にある子どもは、複雑な家庭環境で育っていることが多い。子どもの経済環境は親に依存する。子どもの貧困というのは、親の貧困なのだ。

ではなぜ親が貧困になってしまっているのか。いろんな要因があるが、よくある事例を列挙してみる。

 ・母子家庭で母親はパートを掛け持ちしているが貧しい

 ・親にギャンブル癖あり。もらった金をすぐ使いこむ

 ・親が自己破産。その後も真面目に働かない

 ・親がうつ状態になり、自殺。祖父母に引き取られるも、年金生活で貧しい

親の貧困を解決するには時間がかかる

こんな感じだ。「母子家庭で母親はパートを掛け持ちしているが貧しい」というケースであれば、お金を渡せばある程度は解決するかもしれない。

ただ、「親にギャンブル癖あり」の場合は、金を渡してもギャンブルに使いこまれてしまう可能性が高く、貧困の解決につながらない。

なので、このようなケースでは、親から子どもを引き離すために粘り強く家庭訪問したり、行政や関係機関と連携して事に当たる、といったことをする必要がある。

子どもの心の問題も要ケア

また、子どもは経済的に恵まれない状況にあると、自信を失って不登校になったり、コミュニケーション能力が低下したり、うつになったりと「心の問題」を抱えてしまうことも多い。

この「心の問題」をケアするには、スクールソーシャルワーカーのような人が、時間をかけて子どもに接し、心を開いてもらい、一歩ずつ、行動をしてもらう必要がある。

子どもの貧困の問題は個別具体的に解決していく必要あり

このように、子どもの貧困を取り巻く環境は千差万別であり、個別具体的に対策を立案し、時間と手間をかけて解決を目指していく必要がある。

「こんな仕組みを作れば、日本中の子どもの貧困は一発解決!」といった解決策は見当たらず、一つ一つのケースに粘り強く当たっていくしかないと思われる。

所感:仕組みを作りたい

(ここからは僕の所感になるが)とはいえ、自分がスクールソーシャルワーカーになろうかというと、それよりは、何か”仕組み”を作って、現状が好転するような動きができないかな、と考えている。少しでも大きなインパクトを残したい、という思いが自分の中にはあるようだ。

スクールソーシャルワーカー、なんで素晴らしい仕事なんだ。

「チャイルドプア」という本を読んでいます。Kindle Unlimitedで読み放題だったので読んでみたのですが、これがすごく良い本。

今日はランニングしながら、iPhoneの読み上げ機能を使って、音読を聞いていました。聞きながら、途中感動して、泣いてしまいました。はたから見たらだいぶ怪しい感じだったと思います。

感動したというのは、以下のストーリーを聞いたとき。

ーーー

両親が離婚し、母親に引き取られたひろこさん。ひろこさんは3人兄弟の長女。母親は3人の子供を養うために朝から晩までパートを掛け持ちしており、常にイライラしていた。

ひろこさんは中学生になり、学校で嫌なことがある日もあった。けど、母親にそれを打ち明けたところで、母親はそれを聞いてくれるような余裕はない。ひろこさんは自分で悩みを抱え込むようになった。

そのうち、学校に通えなくなり、引きこもりに。うつ症状も発症。母親にも「何で生んだの?生まれてこなければ、こんな思いしなくて済んだのに!」と当たり散らすように。

そんな中、スクールソーシャルワーカーさんが、ひろこさんの担当になった。この人は、ひろこさんと近所の公園で雑談するところから始め、徐々にひろこさんと打ち解けていった。

ひろこさんも、すぐに「学校に行きなさい」とか言わずに、どんな話でも受け止めてくれるスクールソーシャルワーカーさんに心を開くようになった。

スクールソーシャルワーカーさんは、ひろ子さんに、週1でやっている学習教室に行ってみることを勧めた。いきなり中学校に復帰するのは難しいので、まずは週1のところから。

ひろ子さんも素直にそれに従った。週1の学習教室にはひろ子さんと似た境遇の同世代の人もいて、ひろ子さんにとって居心地の良い場所になった。

完全に社会との接点が絶たれていたひろ子さんだったが、スクールソーシャルワーカーさんの計らいで、徐々に社会との接点ができてきた。

その後、スクールソーシャルワーカーさんはひろ子さんに、通信制の高校に入ることを勧める。通信制であれば通学は週に1度で良く、普段は家で課題をこなせば良い。学費もそれほど高くない。不登校のひろ子さんにも、またひろ子さんの母親にも受け入れやすかった。

ひろ子さんは高校生になり、最初こそ順調に過ごしていたものの、徐々に勉強についていけなくなり、学校に行くのが辛くなる。

スクールソーシャルワーカーさんは、ひろ子さんが通信制の高校に合格した時点で任務は完了しているのだが、そこで関係を切らさずに、ひろ子さんと連絡を取り合い続けていた。

その中で、スクールソーシャルワーカーさんは、ひろ子さんから通信制高校の悩みを聞く。そこで、スクールソーシャルワーカーさんは、また週1で福祉関係の人やボランティアの人などが集まる「たまり場」のような場所を紹介した。

そこでは、多様な大人たちが、子供と雑談したり、子供に勉強を教えたりしてくれる場だ。

最初こそ緊張していたひろ子さんだったが、こちらでも似た境遇の友人たちと知り合うことができ、また優しい大人たちと出会うことができたことで、非常に居心地の良い場所になった。

勉強も教えてもらったことで、ついていけるようになった。

いまひろ子さんは高校3年生。ひろ子さんには夢がある。それはスクールソーシャルワーカーになることだ。

ひろ子さんと同じような境遇の子供たちの力になりたいのだという。

ーーー

ここまで読んで、本当に感動して、泣けてきた。

感動ポイントは以下。

・スクールソーシャルワーカーさんが、ひろ子さんと粘り強く関係づくりをし、ひろ子さんのためになるアドバイスをしっかりしていたこと

・ひろ子さんが徐々に状況を好転させることができたこと

・ひろ子さんが自分の境遇と同じ人の力になりたいという思いで、スクールソーシャルワーカーになることを夢見ていること

スクールソーシャルワーカーさんがいなければ、ひろ子さんは辛い境遇から脱することができなかったかもしれない。

スクールソーシャルワーカー、なんて重要な仕事なんだ。そして、なんて尊い仕事なんだ。と思った。

生きる気力を失った子供に、生きる希望を取り戻させる仕事。

素晴らし過ぎる。

「子どもの貧困」解決に向けた具体的アプローチ2つ

子どもの貧困という問題があります。

子どもの貧困の定義はこちら。↓

必要最低限の生活水準が満たされておらず心身の維持が困難である絶対的貧困にある、またはその国の貧困線(等価可処分所得の中央値の50%)以下の所得で暮らす相対的貧困にある17歳以下の子どもの存在及び生活状況

これを改善するための具体的アプローチを収集していきたいと思います。まずは思いつくところから2つ記録しておきます。

「子どもの貧困」解決に向けた具体的アプローチ2つ

以下の2つは教育面でのアプローチです。子どもが貧困から抜け出すための一番わかりやすい手段は「勉強する⇒良い大学入る⇒良い会社入る⇒貧困脱出」という流れなので、教育面でのアプローチが有効なわけです。

1. 生活保護世帯向けの無料学習支援教室

「チャイルドプア」という本の冒頭に出てくる実例。さいたま市の委託を受け、元教諭の方が生活保護世帯向けの無料学習支援教室を開いている。

仕組みとしては、「子どもの募集はさいたま市が行う。勉強を教えるのは大学生ボランティア。」という感じ。さいたま市の福祉課が募集をかけたところ、たくさんの子どもの応募があったという。

2. スタディサプリを使った学習

スタディサプリというアプリがある。月額980円で、スマホタブレットで質の高い授業を受けられる、というサービス。

私は実際に受けたことは無いが、おそらくかなり質の高い授業を提供していると思われる。

これを使えば、安価に、塾に通ったのと同じような効果が得られるはず。

アマルティア・セン「貧困が才能の許し難い無駄遣いをもたらす」

引き続き、貧乏人の経済学を読んでいます。

その中で、経済学者兼哲学者でノーベル経済学賞受賞者のアマルティア・センの言葉が載っていました。印象的だったので紹介します。

アマルティア・センは、貧困が才能の許し難い無駄遣いをもたらすと述べていて、多くの人はそれに同意します。センに言わせると、貧困はお金がないというだけではありません。人間としての可能性を全開にする能力(ケイパビリティ)がないということなのです。

アフリカの貧しい少女は、たぶん相当に頭がよくても、せいぜい数年しか学校に通わず、世界トップの運動選手になれたはずでも、それに足るだけの栄養を摂取できず、すごいアイデアを持っていても、起業する資金はたぶん得られないでしょう。

この指摘、本当にそうだよなぁ、と思います。

貧困の境遇にある人達は、自分の才能を発揮して、人生を切り開いていくという機会を奪われています。これって本当にアンフェアだよなぁと。

ある程度お金に恵まれていて、気合入れて動けば何でもできる人がブーブー文句言ってても、「何言ってんの?」としか思わないのですが、貧困により機会が与えられていない人がいることを知ると、本当に悔しいし、やりきれないし、おかしいと思います

特に貧困にあえいでいる子ども。子どもは、大人以上に「何とかする」力がないわけですから。不遇の状況に置かれているのは本当に可哀そうです。 

貧困削減にもいろんな流派がある

「貧乏人の経済学」を読んでます。

「貧乏人の経済学 もういちど貧困問題を根っこから考える」という本を読んでいます。

まだ読み始めたばかりなのですが、かなり分厚い本で、中身のある本のようなので、読んでいる途中で印象に残ったところを元に、順次考察していこうと思います。

貧困削減のやり方にも、流派がある。

この本の中で、貧困削減にはいろんな流派(考え方)があることについて書かれています。

ジェフリー・サックスという高名な学者は「貧困撲滅のためには先進国が発展途上国にガンガン援助することが必要!」と言います。

一方で、ウイリアムイースタリーという別の学者は「援助は発展途上国の方の主体性を奪うものである。有害だ!」と言います。

それぞれの学者さんがそれらしいエピソードを持って、自身の主張を論証しようとします。

この人達の本を読むと、あまり知識がない僕のような一般人は困惑してしまいそうですね。

援助の是非はケースバイケースで考えよう

そこで、貧乏人の経済学の著者はこう言います。

援助は是か非か、といった大問題の答えはわからない。けど、●●が××の場合、といったような限定条件を付けたうえでなら、援助は是か非かを論じることは可能。この本ではそういったことを論じている」と。

要はケースバイケースでしょ、ということですね。援助は是か非かなんて、ケースバイケースですよと。

直観的にですが、この主張は信じられそうな気がします。個別具体的な話であれば、説得力が違いますもんね。

というわけで、「援助はすべき!」「すべきでない!」という論争に惑わされそうになったら、この記事を読んで、困惑しないようにしたいと思います。

インパクトインベストメントをテーマにしたブログを書いてみよう

こんにちは。はじめまして。kyoheimと申します。

僕はメガバンクに8年半勤務した後、自営業者として独立しました。銀行員時代に始めた副業が軌道に乗ったので、独立した、という形です。

これまでは「稼いで自由になること」にフォーカスして生きてきました。でも、いざ会社を辞めて自由を手に入れてみると、何をやっていいかわからない...。そんな壁に直面しました。

今は、自分が何をやりたいのか?ということを、いろんなことを試しながら考える日々です。

で、こちらのブログでは、自分が以前から興味を持っていた「インパクトインベストメント」について書いていきたいと思います。

インパクトインベストメントとは、「経済的な利益の追求と貧困や環境問題等の社会的課題の解決の両立を目指す投資」のことです。ずっと前から興味あったんですよね、このテーマ。

というわけで、しばらくこちらのブログでは、インパクトインベストメントについて、自分が調べたことや考えたことを書いていきたいと思います。宜しくお願い致します。